同年76年のピートのファースト・ソロ『Not A Word On It』は残念ながら今だ未聴、何とか捜したいものでありますが。翌77年のアルバムがこれ。

#022
"LeBlanc & Carr / Midnight Light"
[ '77 Big Tree/US]
<A:★★★★>

 前作『Lenny Le Blanc』同様裏方仕事はすべてピート担当。あのメンツで Wishbone 録音。違うのはこれはレニーのソロではなく二人名義、よってピートも全面に、まあ当然だが出てくる。これがいけねぇやね! ギタリストが全面に出るとお約束のように「弾きまくり」になってしまうんだな。よってレニー色の強い半分の曲はひじょーに良い出来なのに残りが…。
 分かる、気持ちは。他人のバックで出すぎないようにギターを弾くのが仕事とはいえ、たまにはガツ〜ンとカマしたくもなるよな、それが人情。なのでそれが出来る場では…。しかし、それがアカンのだ。セッション・ギタリスト、“半歩下がってナンボ”の世界でしょうが。

 ここではモータウン曲 "Something About You" やオリジナル曲でガンガンに弾いて気持ちよさげなピート先生であります。レゲェの "Johnny Too Bad" やイーグルスの "Desperado" などカヴァーもいけるし、レニー作の例の "Falling" それに、アルバム・タイトル曲 "Midnight Light" は素晴らしい(まったくソロの延長上)だけにピートの暴走(?)が惜しい!

  続いてがピートのセカンド・ソロ・アルバム。

#023
"Pete Carr / Multiple Flash"
[ '78 Big Tree/US]
<A:★★>

 この2枚目は当時日本盤も発売された。9分越えるディラン曲「天国の扉」が一番の話題だったかな。まあ賢明な読者は察してくれているだろう、個人アルバムとなればタガは緩みっぱなし、大弾きまくり大会なのだ。

 ピート好きのオレ、実はこのページを始める気になったのはこのLPをやっとのことで買ったから。出てから23年、何度も目にしていながら手を出さないできた。もちろん弾きまくりで面白いわけがなかろうと想像していたから。それに中古価格も結構していたし。それがやっと安い盤を見つけて。決心して買ってみたら、思ったとおりの出来(笑)! 「まあこれもありかな」とそれほど落胆はしていないけれど…。

 全7曲。5曲が本人作のインスト。ラストの「天国の扉」はこれが唯一か?ピート本人がリード・ヴォーカルを取っている。歌はイケルんだ、この人。この曲はWEBNというFM局の放送で使われた、76年オハイオ州でのスタジオ・ライヴ。う〜ん、これは“悪くない、好きだ”という意見もけっこう聞くが…オレとしては、「やっぱり弾きすぎだー!」

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Big Tree からのLPは今の所ここまで。次の1枚は多くはないピート・プロデュースによるアルバム。これ以外にも、マッスルのミュージシャンたちと組んだバンド= Sail Cat というのがあって、ピートはそのメンバーにしてプロデュースも担当したらしい。このアルバムも聴いてみたいもの。

#024
"Jack Tempchin"
[ '78 Arista/JP ]
produced by Pete Carr for Pete Carr Productions
<B:★★>

 ジュールズ・シアも参加していたことで知られるファンキー・キングズのメンバーだったジャック・テンプチン唯一のソロがこれ。この人を語るにはかならず出てくるはやっぱりこれか、イーグルスの名曲 "Peaceful Easy Feeling"の作者。個人的にはそれよりもジョニー・リヴァースのカヴァーが全米トップ10ヒットとなった "Slow Dancin' " の作者というほうを挙げたい。スローでメロディアスな曲を書く人である。
  ロスを強くイメージさせる人なのにこのソロはなぜかピートが全面バック・アップ。となればエンジニア、ミックス、アレンジ、プロデュースまで一人でこなしてしまう。録音は FAME Studio 、アラバマ録音だ。盟友グレン・フライ、ジャクソン・ブラウン、ジェニファー・ウォーンズらのロス勢の参加とあるがこれはロスでのオーバーダブかな。

 この人もスローはいいがアップ・テンポになるとダメ、コケる。乗り一発のアップ・ナンバーは定型(基本コード進行)があるからやり易い。裏返せば同じ様な曲になり易くもあるわけだ。それでオリジナリティ溢れる曲を書くのは楽じゃないはず。セルフ録音の"Peaceful Easy Feeling"、それと "Skateboard Johnny" という2曲がそこそこイケるが残りはたいした曲じゃなくて。

 ピートのギターは全編で聴かれるがなにしろ曲が今一つだから…。

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マッスル信奉者、ボブ・シーガーのLPを追加。前に書いた中での初期アルバムは76年の『Night Moves』。その前75年のアルバムがこれ。

#025
"Bob Seger / Beautiful Loser"
[ '75 Capitol/US]
<C:★>

 この時はまだソロ名義、Silver Bullet Band の名はここでは1曲のバックに見られるだけ。クレジット上では全曲がマッスル・ショールズ録音となっているので期待して聴いたら…こりゃ最低。ゴリゴリ・ロッキン・ナンバーばかり、なんだって地元デトロイトですませないのか。マッスルのマの字も感じさせない駄曲ばかりでいやになる。もう2枚、マッスル物がこの人にはあるがもう買わずにおこう。
 ここまでピートのギターが聴こえないマッスル・アルバムもないね。1曲に Pete Carr : solo guitar のクレジットがあったが、さすがにそこでは弾いている、聴こえる。しかし、ピートも冴えないなー、どうにも「いけない」ボブ・シーガーのマッスル録音盤…。

 

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#026
"Buzzy Linhart / Pussycats Can Go Far"
[ '75 Atco/US]
produced by Barry Beckett & Roger Hawkins
<C:★>

 これは非常に珍しいアルバムだ。ロジャー・ホーキンスの名がプロデュースにある盤などそうはないだろう。オレはこれしか知らないよ。ところで、このバジー・ラインハートって誰だっけ? どこかのバンドにいたかなぁ? もう一枚はソロLPを見た覚え有り…それだけ。
 全曲マッスル録音、マッスル四人衆&ピート・カーがバック。additional player として名があるのが、1曲ピアノで Barry Goldberg 、フルート奏者だよな…Herbie Mann、フルート吹いてないけど。コーラスにキャロル・ベイヤー・セイガー&ピーター・アレンが。キャロルの名はバジーとの共作曲にも。共作含め全曲がバジーのオリジナル。

 南部ではなく都会の人だろ、バジーって。キャロルやピーター・アレンにどこか共通する雰囲気がある。歌手というよりも芝居、演劇の人かも。歌い方がなんともシアトリカル…とでも云おうか、悲しがったり笑ったり、感情丸だし。2曲の副題に ( from "The Trials of OZ") と書いてある。「トライアル・オブ・オズ」という芝居の挿入歌ってことかねぇ? なんだかブロードウェイっぽい。Dedication の中にベット・ミドラーの名があるあたりもNY臭ぷんぷん。なぜかリンゴ・スターの名もあるんだがね。よう分からんなぁ…やっぱり。

 B-3 "A Tear Outweights A Smile" というブルース曲でピートのギターが聴けるのだけが救い、オレの趣味にはほど遠い、まったく“アキマヘン”!



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つぎはイギリスのアーティスト、強面な顔のわりに甘い声の持ち主。

#027
"Jim Capaldi / Whale Meat Again"
[ '74 Island/US]
<C:★★★>

 ジム・キャパルディ、トラフィックのメンバーだったことは確かだよな。ドラム担当…でしょ? トラフィックってよく知らないんだよな。スティーヴィー・ウィンウッドとデイヴ・メイスンの二人がソングライターだと思っていたけど、このジムもそうだったのかな? というのもこのソロ・アルバムは全曲彼の作品だから。それと歌、地味なリズム隊の一員という認識しかなかったので期待はしていなかったが、上手い! 書けて歌えて、その上曲もかなり高水準、イイ曲書ける人…まことに意外でありました。
 ウィンウッドがマッスルにえらく入れ込んだのは前述どおり。それゆえか、キャパルディもこのアルバム、次作ともにマッスル録音。特にこのLPは全7曲中6曲がマッスルだ。マッスル四人衆+lead guitar: Pete Carr となっているという嬉しいお皿。
 これって日本発売されたときの邦題が「鯨肉賛同」だか「捕鯨回帰」?はっきり覚えてないがそんなタイトルじゃなかった?

 lead guitar : Pete Carr とあってもリードらしいプレイがまったく聴けないことがよくあるとは前に書いた。しかしこのアルバムでは2曲で際だったギターが聴ける。特にタイトル曲 "Whale Meat Again" ではブルージーなプレイを。この曲、ボズ・スキャッグズのマッスル曲 "Loan me a dime" にすごく似てる。ピートのギター音色/フレーズともボズの曲でのデュアン・オールマンにそっくり。悪くはないがピート本来ではないので少し違和感あり。1曲スロー・ナンバーで南部らしいドブロのスライドを弾いているのが光るくらいでピート的には満足できるLPではない。しかし繰り返すが曲はいけるんだ。
 最後の "Summer is fading" は長尺(8:30)、これが余計だったなぁ…。



曲の良さはこれ以上なのが次のこちら。アイランド・レコードの総大将クリス・ブラックウェルもプロデュースに加わった75年盤。

#028
"Jim Capaldi / Short Cut Draw Blood"
[ '75 Island/US]
produced by : Steve Smith,
Jim Capaldi and Chris Blackwell
<C:★★★★>

 全9曲、うちマッスル録音は4曲。残りは地元ロンドンで。それにしてもこれほど奇妙なメンツでのセッションもそうはないだろう。ルブラン&カーLPでも取り上げていた "Johnny Too Bad" だが、ここでのマッスル・セッションではピートがリードを弾き(ここで覚えて、ルブラン&カーで再録したのだろう)、アコ・ギターは Peter Yarrow、PPMのピーターだ! 同じくマッスル曲で、ベースがデヴィッド・フッドではなく Stevie Winwood、ピートはサイドに回りリードを弾くのが Chris Spedding! 次曲ではリードは Paul Kossoff だ。ひとつのセッションでマッスル・リズム隊、トラフィック、フリー、クリス・スペディングにPPMが勢揃いってのも凄い!
(蛇足/ピーター・ヤロウにはマッスル録音のソロがあるから、ちょうどセッションが重なった時で飛び入り参加だろう)

 カヴァー曲がその "Johnny Too Bad" 、それにブードゥルー・ブライアント作の名曲 "Love Hurts" 。残りすべてオリジナル。スロー/ミディアム/アップとどれも良し。スローのマイナー曲は湿ったストリングスといい、イギリスらしさが(マッスル曲なのに)出ている。ピートは、リードはクリスやコゾフに任せているのでマッスル的聴き所はほぼ無いアルバム。イギリス人、ジム・キャパルディのソロとしては十分に楽しめる盤ではあるけれど。
 ラスト曲 "Seagull"、波音と共にフェイドアウトで終わる。鯨といい、かもめといい、海が好きな男か?キャパルディ……。

 

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 女性R&Bシンガー、マッスルがいたくお気に入り…らしいのだが…。

#029
"Millie Jackson / Still Caught Up"
[ '75 Spring/US]
<C:★>

 グラディス・ナイトの声でティナ・ターナーばりの歌い上げといった感じ、ダメですオレ、こういうの。前作が『Caught Up (愛のとりこ)』、タイトル通りにその続編。浮気がテーマの男女愛憎劇=コンセプト・アルバム…なのだろうが歌詞が判らなければ…いや、判ったところでどうでもいいや、オレの聴きたいのは“音”なのだから。曲が良くて、ロジャー・ホーキンスのドラムの“キレ”が良くて、ピートが素晴らしいギターを弾いてくれれば何の文句もない。ところが曲が悪く、ドラムはキレず、ギターは聴こえない、となれば即刻売り払うべき…?

 トップ曲 "Loving Arms" は Tom Jans の名曲、エルヴィス始めカヴァーも多いこのナンバーはさすがに悪くなく、ピートのギターもまずまず。次曲はソウル・チューンにはお約束のエレクトリック・シタールが入っている、マッスル物には珍しいが。(←ピートが弾いているんだろうな) しかし、これ以降はダメだぁ〜。

 この人、このアルバムの前後もマッスル録音をしているのでまだ4〜5枚はありそうなのだが、もうヤメておく。中古レコ屋の100円箱にでもない限り。

 

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ここから男性シンガー、それもかなりショービズな方々を三名ばかり。

#030
"Paul Anka / Feelings"
[ '75 United Artist/US]
produced by Rick Hall
<C:★★>

 リック・ホールは70年代初頭にオズモンズをプロデュースし、大ヒット、 "One Bad Apple" "Yo-Yo" などを生み出したことを急に思い出した。ジャクソン5への対抗馬としての白人ファミリー・グループは60年代からTVショウで知られる存在、長〜いショウビズ界暮らしだ。同様な、いかにものミスター・ショービズをプロデュースしたこのアルバムは75年作品。
 ベーシック録音は Fame と Muscle Shoals 両スタジオ。オーヴァーダブにラスベガスのスタジオを使うところがさもありなん、この人らしい。マッスル・リズム隊全員参加、及び Lenny LeBlanc、Randy McCormick, Roger Clark と、ピート・カー組も全員参加、スタジオによって分かれているのかも。ピートはかけ持ちだろう。

 元来のメロディメイカーらしく全自作曲は“それなりに”いい曲。が、すべて60点で出色の出来といった曲が見当たらない。持っていてもいいが次に聴くのはいつの日か…そんなアルバム。やっぱりベガスが似合う芸能人だなぁ…いや南部らしい落ち着きもある…曲毎に感想がころころ変わる困ったアルバムともいえそう。
 ピート的にはこれも今一つ。ギタリストが4人参加の中で、「これはピート」という曲もあるがそれとて特筆すべきものでなく…。

 

 

#031
"Tony Orland"
[ '78 Elektra/JP]
produced by Jerry Wexler and Barry Beckett
<C:★★>

 "ラストダンスは私に" "That is Rock'n'Roll" "Let the good times roll" "悲しき叫び" "Ya Ya" …5〜60年代の名曲で埋め尽くされたこのアルバム。鉄壁4人衆にリードギターがピート、プロデュースにジェリー・ウェクスラーという完全無欠のマッスル・ショールズ物の一枚……なのに、期待に反してまるでダメ、肝心の主役たるこの人、やっぱりシクスティーズなお方なんだろうか。

 知られるのはセヴンティーズに入ってから。ドーンといえば誰もが知る「幸せの黄色いリボン」、「恋するキャンディダ」「ノックは三回」も大ヒット、あのドーンのヴォーカリストがこのトニー・オーランド。アメリカン・ポップス・フリークならば60年代の、ティンパンアレイ関係の裏方及びソロ・シンガーとしてのトニーも知っているだろう。このアルバムでポーマス=シューマン、レイバー=ストーラー曲も歌っているが、彼ら大御所ともかなり近いところにいた人だろうね。

 ドーン解散後ソロ第一弾がこのアルバム。60年代に叶わなかったソロでの成功をウェクスラーに託してマッスルまでやって来たのだろうが、なーんだかなぁ、古い芸能人がそつなく唄いましたって感じだねえ。マッスルの力をもってしてもどーもならぬ、ピートのギターもまったく冴えなし。2曲が Etta James とのデュエット。それとロスでのオーヴァーダブだが、コーラスが Waters 兄弟姉妹のThe Waters 、それらは結構イケるんだがね。回りは完璧でもコアの部分がしっかりしなくては何ともならないという典型でした。

 

#032
"Billy Vera"
[ '82 Alfa/Japan]
produced by Jerry Wexler and Jimmy Johnson
<C:★>

 ビリー&ザ・ビーターズとしてやはりこのアルファ・レコードから一枚アルバムを。バンド解散後、収録の1曲 "At the moment" がTVドラマに使われ思わぬ大ヒット、その一発屋として知られるビリー・ヴェラのソロがこれ。レーベルのアルファは、YMOで一山当てた村井邦彦が創設したあのアルファ。実は大ソニーよりも前にアメリカ進出を果たした日本レーベル第一号がこのアルファであったと何かで読んだ。ロスを拠点に元ゲス・フーのバートン・カミングスなどを出したが、さしたる成績が上がらず2年足らずで撤退を余儀なくされたとも。

 スタジオはマッスルながらリズム隊四人衆からはジミー・ジョンソンとバリー・ベケット。ベースが Tommy Cogbill、メンフィスのアメリカン・スタジオで活躍した渋い人。ギターは一応全曲ピート(&ジミー)となっているがそれらしいギターがまったく聴けない“トホホ”なアルバム。10曲中7曲が自作。カヴァーにはビートルズでお馴染みの "Slow down" も。"Peanut Butter" というカヴァーが、ビーチボーイズのやはりカヴァー "Hully Gully" と同曲。歌詞のみ変えていろいろに歌われている曲か?

 う〜む、それにしてもオリジナル/カヴァー、どれをとっても面白味なし。歌もヘタ。その上ヘタなリードギターも弾かれては三重殺。こりゃまいった。唯一チップ・テイラーとの共作バラッドが少し聴けるだけ…。
 珍しい名がある― Jerry Wallace 。日本人には懐かしい「マンダム/男の世界」、あの人が1曲のみコーラス参加。

 

 

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懐かしアルバムをCDで買い直し。これはいい!

#033
"Mel & Tim / Starting all over again"
[ '72 Stax/US CD-reissue]
produced by Barry Beckett & Roger Hawkins
<B:★★★★>

 オーティス・レディングのホームグラウンド=スタックス・レコードといえば南部ブラック・ミュージックの良心。メンフィスを拠点とするこのレーベルから出たこのLP、カット盤で買ったのは77〜8年だったかな。メンフィス録音かと思えばさにあらず、そのクレジットにピート・カーの名があって買ったこの盤もマッスル録音の一枚だった。それがいつのまにかレコ棚から消えていた…売り払ったかなァ? この頁の為にと中古屋でこまめに捜していたのだが、サイトで調べたらCD化されていた。オリジナル10曲に次作LP『Mel & Tim』から4曲ボーナスで計14曲。ボーナス曲も全てマッスル、よって全曲ピートが参加している。
 バジー・ラインハルトで「こりゃ珍しい」と書いたロジャー・ホーキンスのプロデュース、このLPもそうでありました。マッスル・リズム隊がベーシックのバックで、唯一メンフィスからの参加はベースのダック・ダン(from MG's)。

 20年前にはアルバム・タイトル曲がメロディアスで悪くないなと思った程度のLPなのに、いや〜こんなに素晴らしいブツだったとは!(蛇足:ただしCDのジャケは…なぜだ!改悪もいいとこ、ひどくなった。オリジナル・ジャケのいかにもブラック・アルバム然としたシンプルさが懐かしい)

 アップ/ミディアム/スロー、手堅いバックのおかげもあってどんな曲調もイケる。ダン・ペン作の名曲 "I'm your puppet" をカヴァー、自演のスローとは異なるアップなアレンジ、これも申し分無し。
 ボーナス4曲中、2曲はマッスルとは思えない16(ビート)で、これだけがちょいと違和感あるかな。けれど残り2曲は Down to earth なマッスルらしい出来。ラスト曲はポインター・シスターズの出世曲、Allen Toussaint 作 "Yes, we can-can" をカヴァー。アラバマ/マッスル産のニューオリンズ・ナンバーってのも悪くない。

 アルバムの出来はいいが、ピートのギターはどうも今一つ。もう少し弾いてくれてもよかったのに。「お、ここにはハマったはず…」そんな気がする箇所が多いだけに残念至極。

(蛇足050822:ジャケ写真は、再度入手したアナログ盤。こちらが「ブラック然としたシンプル」な方)

 

 

 

 

 

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