とにかく "Wow" なピート物。

#077
"Mike Harrison / Smokestack Lightning"
[ '72 Island / '03 Repertoire Re-issue CD]
<A:★★★>

 ゴールはないだろうこのこのページ、ピート参加盤全コレクションは無理な話。とは言え現時点で知る限りは残り10枚足らず。さすがにここまで聴いてくるとアーティストの顔というか格でだいたい内容は想像がついてくる。これはと期待する盤は皆無でよくてマアマア盤、残りはトホホ盤でなければよしという程度。なので中古価格でヨケタ(¥1000アップ)の身銭を切る気はさらさら無く、ミケタで見つかれば、と。そんな中これはリイシューCDで買ってしまった、思わぬ身銭切り。中古LPはまず出てこないとの読みと内容へのそこそこの期待から。この人の過去音源は未聴だったが…。

 AMGのピートページにこの名があった時には誰かまったく知りもせず。雑誌でその名を見たのはアイランド・レーベル特集の中で。そこから知ったのは元 Spooky Tooth のリードヴォーカリストということ。スプーキーはリアルタイムに“名のみ”知るバンドだが、英国でも微妙な立ち位置だったような…。ともあれR&B/ブルース・ベースのアメリカ黒人音楽大好き英国シンガーにしてアイランドレーベルがらみとなれば、ロッドの傑作/ジム・キャパルディの好盤あたりと較べてどうかという想いが出た。それにしても繰り返すがマッスルショールズとアイランドとのブッ太いラインはどこから来ているのだろう? この盤もプロデュースは Chris Blackwell (とマイク自身)。

 でもって、一聴…こりゃあかん盤。まずヴォーカリストとしての魅力が前出フランキー・ミラーほどではないが、ない。ロッド、ポール・ロジャース、スティーヴ・マリオットらを主流とすればどう聴いても脇、傍流の感強し。楽曲も魅力乏しく。そう感じてしばらく放っておく。
 1ヶ月開けて再度聴き込めばマアマア盤へと変化。曲がつまらなく感じたのは個人的趣味による部分が大きく、メロディ指向強いオレにはマイナーブルースを延々聴かされるのが辛かった(LPにおけるB面、CDではラスト2曲、長尺ブルース)が、バックの“冴え”に耳がゆくようになる。

 正直言ってこのアルバム、かなりいい加減な作り。Fats Domino, Joe Tex, そして長尺タイトルトラックは Howlin' Wolf のカヴァーでどれもアマ時代からのレパートリーらしい。オリジナルの1曲もライナーによれば [concoct] …スタジオで“でっち上げ”た、即席曲だと。そう、この盤はプロデュースされていないアルバム、スタジオでのラフ・セッションをまんまラッカー原盤にしてしまったという印象。けれども、いやそれゆえか、ピート始めリズム隊が好きにやっている/のびのび思うままのプレイでいいグルーヴなのね。13分近い長尺タイトルナンバーでマイクの陰は薄く、バックは抜群。趣味を横に置けばこの曲はマッスル・ブルースバンバーの傑作かも。
 1、2曲目は Jimmy Stevens なる [ a English musician from Liverpool] の作。マイクの古いダチか? 繰り返し聴けば共になかなか良い。英国らしさがよく出ていてロッドが歌ってもイケそう。1曲目では Wayne Perkins が絶妙のスライドプレイ。そうそう、このアルバムはマッスル四人衆にマッスルホーンズで全編通された完全マッスル録音盤。ギターのみ Pete, Wayne に Luther Grosvenor (acoustic gui.) の名。ルーサーとはマイクの旧友らしい英国人、マイクとこの人のみ(それにプロデュースのブラックウェルか)が英国よりアラバマ入り。

 ピートのギター、全編に活躍と言えば…言える。奥歯にモノが詰まった言い方だが確かにかなり弾いている。ただ収録曲調が曲調なのでマイナーペンタトニックが多くいわゆるピート節とは遠い。特に、珍しくワウワウを多用。但しラストの熱演等の頑張りを評価して [A] としておこう。

 

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hard に迫ると思いきや、ちゃいまんねん…。

#078
"Corky Laing / Makin' It On The Street"
produced by Johnny Sandlin
[ '77 Elektra/US ]
<A:★★★★>

 コーキー・レイング…この人のソロもマッスル盤と知り、例の如くアイランド(レーベル)がらみだなと思った。と言うのもこの名をオレは West, Bruce & Laing のレイングとしてしか知らず、ジャック・ブルースからの連想で英国人と思い込んでいた。ブルースが“クリームの栄光再び”を目論んだ3ピースバンドとは言え、Mountain あがりのレズリー・ウェストは今にして思えば米国人だったが。そもそもがこのレイング自身も Mountain あがりとは知らなんだ、ネットをチェックして初めて知った。その上英でも米でもなく加、コーキー・レイングは Canadian であった。 まあ何にしろズンドコドラマーのソロとなればブイブイと押し一方、うるさいアルバムであろうと想像したらまたまた勘違い、爽やかな好盤でありました。
 これも大きく勘違い、まず始めにこのLPはマッスルとはほぼ無関係、なんとプロデュースが Johnny Sandlin で録音がジョージアのキャプリコーン・スタジオ…、エレクトラからの盤だが本来はキャプリコーンから出るべき代物。マッスルを“ほぼ”無関係としたのはピートの参加はもちろんだがお馴染み、キャロウェイ/トンプソン/イーズ/ローズの Muscle Shoals Horns 四人衆も参加しているから。

 このページの熱心な読者(Who?)ならば気付いてくれたはず、サンドリンはピートにとって若き日に Hour Glass のメンバーとして共に下積み時代を送った盟友。このアルバム当時はオールマンズのプロデュースで、レーベルの重鎮として名を成していたから、お互いにそれなりに落ち着いての再会だったはず。
  キャプリコーンといえばオレの好きなバンド= Cowboy のレーベルであり、解散後は名セッションメンとなっていたボイヤー&タルトン、うち Tommy Talton もギターで参加。コーラスは Blackberries の3人、つまりはアラバマではなく南部ジョージア産ロックアルバムというのがこのLP。
  ギタープレイヤー表記にはピート/タルトンにコーキー自身と3人だが special thanks として1曲目は Dicky Betts & George Terry のヘルプと書かれている。それと曲目不明ながら Eric Clapton の名まであるのだった。クラプトンはマイアミのクライテリアをベースに再活動を始めた頃か、当時はクラプトンバンドだったジョージ・テリーの参加といい、南部/スワンプ色、つまりはキャプリコーンらしいアルバムをコーキー・レイングという人が作っていたとは…。
 1曲目はスライドから始まる Swampy Tune だがさてこのプレイは? ベッツ、テリー、ピート、タルトンにクラプトンも、と5人のスライドプレイヤーが居合わせたセッション、どこぞのサイトにはクラプトンとあったがオレはずばりジョージ・テリーのプレイと見た。 意外な名前が全編でキーボード担当の Neal Larsen 、これってラーセン/フィートン・バンドのあの人だろうねぇ。都会な人だと思っていたが…。

 さて内容だが、これがなかなかに良い盤。始めはいまひとつだったが繰り返し聴くうちにじわじわと沁みてきた。これという抜群な曲は無いがどれも妙に琴線に触れまくり。カヴァー1曲で残りは全て本人曲(共作含む)、なかなかに書ける人なのだ。8ビートロック、16でシティポップス風、スワンプ、カヴァーは( Barbara George なる人の61年のヒットとか…)モロにニューオリーンズ・ビートと、かなりゴッタ煮なのにとっちらかった印象はない。最初に爽やかな盤と書いたのはマイナー曲がないから。意外だったが全てメジャーキーナンバーでかなりメロディアス、Mountain / West, Bruce & Laing のイメージとはまったくカブってないんだよね。
 本人の声は少しかすれ気味、若い頃(?)のジョー・コッカーみたいな感じ。それでもボズ・スキャッグズばりの City Pops(タイトル曲などモロ)でも違和感ないから不思議。ニール・ラーセンの本領発揮か、クラヴィネットがはねる曲は3曲。そしてさすがにドラマーで、そのパートの凝り方/豊富なバリエーションも聴きもの。クレジットには [Drum(Slingerland), Roto Toms, Electric Bongos, Steel Drums & Percussion ] とある。
 ラスト曲 "Heaven"、締めらしいミディアム・バラッド。ブラインドフェイスを想わせる曲調からしてもここでのギターがクラプトンじゃないかと想う。それと肝心のピートのギターだが、全編に活躍、なかでもAー2(タイトル曲)、Aー4、B−3でのソロが、アップな速弾き、かなりイケてます。特にB−3ではひさびさに聴かせてくれた…フェイドアウトにかけて、音が無くなる寸前にいいフレーズを弾くのがピートの特長!

(蛇足:コーキーがわざわざこだわって表記に入れた“スリンガーランド”はアメリカでは由緒あったンだろうな、ドラムメーカー。60年代のサーフィンバンドも使っていたし、記憶が確かならば70年代の来日公演、スリードッグナイト、BS&T共にこのドラムセットだったと思う。日本メーカーに圧されて潰れてしまったのでは…)
(040525)

 

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コゾフの「愛しのレイラ」…これは "It's not the spotlight" に匹敵するマッスル楽曲…。

#079
"Paul Kossoff / KOSS"
[ '77 DJM/US ]
<C:★★★★★>

 

#080
"Jim Capaldi / The Contender"
[ '78 Poldor/UK ]
<C:★>

 この頁に採り上げるにはさしたる価値がない2枚。なぜといって両盤ともにマッスルがらみはわずか1曲。それも同曲! その1曲に片や五つ星、片や一つ星…。 

 両盤、ピート・ディスコグラフィに参加盤と出ていたが、まずコゾフ盤はジャケ裏に表記無く分からなかった。一方もやはりそれらしいクレジットはなかったはずだったが…。先日、『KOSS』を中まで開くことが出来てクレジットをよく確かめればたしかに1曲のみだがマッスル録音のうえ Pete Carr : Guitar のクレジット、"You and Me" という曲。『The Contender』のほうも久しぶりに見つけてこれもクレジットを見返せばタイトルトラック "The Contender" の1曲のみに Muscle Shoals Rhythm Section with Paul Kossoff on lead guitar のクレジット、見落としていたんだな。それなら買いだ。

 『The Contender』、いまひとつ手触りが悪い盤。顔アップ写真がジャケだがなにやらボクサー風なキャパルディ、それに 'The Contender' by Jim Capaldi is from the film of that name by Kevin O'Neal... のクレジットは、本人が映像に出ているのかは分からないがまず何やらの劇伴(サントラ)なのは間違いなさそう。タイトル通りに「挑戦者」風楽曲は大半がキャパルディのオリジナルなのだが銭/仕事の臭いがぷんぷんする=作為的な駄曲ばかり…、はっきり言って最低なブツ…。The Contenders としてキャパルディ含め6人連名のバンドともなっている。そのバンドで担当する曲が全9曲うち6曲で、2曲はロスでの録りだろうか、Ed Greene / Chuck Rainey / Pay Parker / Dean Parks らのバック。で、タイトルナンバー1曲のみがマッスルとなっている。その曲 "The Contender" は、なんと『KOSS』でのマッスルナンバー"You and Me" と同曲なのだった!

 

 コゾフ、言わずと知れた Free のギタリスト。ブルージーなギターはかなり好きな部類。英国らしい湿った音が特徴のこの人とマッスルはどうにも結びつかなかった。とはいえ Island レーベルのフリーなので可能性はあったが。 アルバム『KOSS』は、75年のコゾフ死の後77年に出たレア&未発表曲集、2枚組。フリー時代ファースト・シングルからライヴテイク、そしてソロのレアテイクで1枚、The Backstreet Crawlers 時代のライヴテイクでほぼ1枚のセットは全4面うち3面すべてが unreleased というコレクターズ・アルバム。あらためてそのギターに聴き惚れてしまった。速弾きでもなければトリッキーなフレーズでもないのに、かなりオーソドックスなプレイなのにその表現力、感情をギターに込める才は並じゃないなと。骨太なギブソン・サウンドは非常にサザンロック的、というよりもオールマンズ/レナード・スキナード/アウトローズ等サザンバンドへ多大な影響を逆にコゾフのギターが与えたというわけだろうね。特に世間では無視されがちなバックストリートクローラーズ時代は曲調も幾分メジャーなのでかなりアメリカ南部風なのだった。イケる!
 さてそんな好盤も前記どおりマッスルがらみはわずかの1曲。しかし絶対に採り上げねばならぬ超名曲なのだ、これが。クレジットは…

"YOU & ME" / Paul Kossoff-lead guitar, Jim Capaldi-Vocals, David Hood-Bass, Roger Hawkins-Drums, Barry Beckett-Piano, Pete Carr-guitar, Jimmy Johnson-guitar.
written and produced by Jim Capaldi, recorded at Muscle Shoals, Alabama / Basing Street Studios : previously unreleased ('74).


 ということでコゾフのLP収録なれどこの曲はキャパルディのモノ、ずばりLP『Short Cut Draw Blood』(4頁)でのアウトテイク。スタジオ表記からしてどうやらマッスル録音でのテープにロンドンでコゾフのギターを被せた曲と見た。つまり直接はマッスル・リズムセクションと絡んでいないコゾフ…、とは言え、ピート・カーこそ出だしに薄〜く弾くギターが聴こえるくらいでダメだがフッド/ホーキンスのプレイ、それにベケットのピアノは素晴らしく、数ある四人衆名演奏のなかでも白眉なのだ。二ヶ所録りの“合わせ技”だがそれを感じさせない白熱の名演。
 ほんとに素晴らしい曲。5分20秒、途中にブレイクしてその後がコゾフの弾きまくりだがそのソロの素晴らしいこと! 曲自体も、もともとメロディアスないい曲を書けるキャパルディなのでこれもミディアムないい曲。曲調といい、ずばりコゾフの「愛しのレイラ」と言い切る。

 さてそんなグレイトナンバーを自身キャパルディは使い回した。そりゃないだろうと思ったがよく考えればままあることだよな。元々はお蔵曲だからどんな形で出そうと文句言う筋合いではない。が、改悪にはがっかり。バックトラックはまったく同じながら歌詞を(映画内容に沿ったものへ)変えている。それは百歩譲るとして、最悪はあの後半のコゾフのソロに歌を被せていること。バックの音のレベルもかなり低く抑え気味で演奏の冴え、グルーヴを半減している。
 元曲 "YOU & ME" は「マッスルセッション、この1曲」として残したい出来。それを改悪したキャパルディを許し難く、オレのなかでキャパルディ株は暴落。
(040619)



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 20 previously unreleased tracks recorded in Muscle Shoals, Alabama だが…

#081
"Phillip Mitchell / Just The Beginning"
[ '04 Grapevine-CD/UK ]
<C:★★>

 なんだろうなあ、完璧にイケる盤のはずなのにやけにユルいのだ。オレのR&B度数を試されるブツかもしれぬ。だとしたらかなり低そう、やっぱりブラックを分かってないのかも。その手の人たちには(驚喜の、とまでは行かずとも)諸手を挙げての歓迎盤のはず、がオレにはアイズリーズ、アル・グリーン、スピナーズ、ワマックなどのコピーとしか感じない。それもかなり安手な…。

 フィリップ・ミッチェル、ボビー・ワマック盤紹介で書きました。かなり“マッスルな”ソングライターと。幾たびかその名を見たと思って見返せばミリー・ジャクソン/メル&ティム/パーシー・スレッジなどがその作品を採り上げていた。ライナーノーツにはメルティムの "Starting All Over Again" のヒットで一躍知られる存在にとあるが、たしかにそれとボビーの "Home Is Where The Heart Is" (11頁)の2曲は代表曲とすべき名曲。

 フィリップさん、元々がライター志望ながらパフォーマーとしての活動も活発でマッスルはリック・ホールから始まって、テキサスへ流れてはヒューイ・モーのもと、メンフィス(Hi Records)でもシングル発売と60年代始めから精力的。78、9年にはアトランティックから西海岸録音のLPも出している。このCDはそんな彼のオクラ音源コンピレーション。early to mid 70s にマッスルで録った20曲を収録という待望(?)の未発表コンピなのだ。時期からして四人衆にしろピートにしろ最高の時期、これを逃す手はないと入手してみたのだが…。

 歌は上手いのだがどうにもユルい。やはり裏方に徹すべき人ではなかったか。いかな名曲が書けようともパフォームの才は別、パーシーやワマックに歌われてこそと思えてならない。何曲かは聴くべきモノがあるのだが、それらも基本的にはバックトラックの冴えが聴きもの。まあCDコンピということで、それにコンパイラが思い入れたっぷりなのだろう、20曲もの収録で長すぎるのも問題かもな。 蛇足だが16曲目はグラスルーツの「恋はすばやく(sooner or later)」 に酷似。
 
 試されるといえばそれはピートに関しても。大半は四人衆とともにマッスルでの録音とある。がピートの名はライナーのどこにも出てこない。絶好期のピート節を期待していたのでそれはすっかりハズされてしまった。正直ピートの参加はあるような/ないような。ヴァーサタイルなギタリストゆえこんなギターも弾いているかもなぁと思う箇所もあるのだが分からない。ライナーには面白い記述がある。「もしもマッスルが使えなかったら、the 'A' team がダメなときは Widget, Quinvy (later known as Broadway Sound)で、Clayton Ivey, Pete Greene, Wayne Perkins, Jimmy Evans らと録り」、そしてフィリップは "I would use a skeleton crew of four or five guys" とか「誰にしろ最高の音が出せるのさ、マッスル界隈は」とも言っている。
 やはりギャラも高い四人衆&マッスルサウンド録りはAチーム仕事というわけか。それにしてもスケルトン・クルーってのは…。ピートはA、B両チームで活躍だったがここには名がない。Pete Greene というのがもしや Carr の間違えか、カーを指しているのではと思えなくもないのだが…。何にしろジミー・ジョンソン以外にはピート、ヒントン、パーキンスと他にもギタリストが参加だろう。なおフィリップには Billy Clements というコ・ライターにしてギタリストがいたらしく、ビリーのリードがうち3曲でという記載もあり。

(蛇足:それにつけてもジャケがセコすぎるぞ、Grapevine!)

フィリップCDのライナーによれば、FAME's in-house rhythm section であった四人衆はリック・ホールにたいし "personally and financially" に不満を持つに至り69年4月にフェイムを去って自分らのスタジオを 3614 Jackson Highway 、かつては casket factory(棺桶工場?)であった場所に建てた、すぐにそこは Avalon Avenue(フェイムスタジオの場所)よりも有名になったとある。(77年?)四人衆はスタジオを移転、1000 Alabama Avenue へとも。ここが現在も残るシェフィールドの Muscle Shoals Sound Studios …とも思えず、いままで移転は一度と思っていたが違うかもしれない 。

 

 


"Crimson Tide"
[ '78 Capitol/US ]
<★>

 この盤は参考盤として数に入れないことにする。マッスル録音でもないしピートはまったく関係なし、ただしオレは結構気になっていたブツで見つけたときはかなり嬉しかった。そして聴いてみれば…期待は裏切られ、割ってしまおうかとも…。
 ウェイン・パーキンスの名はここで頻繁に出している。実際マッスル・リードギタリストとしての参加盤もかなりの数に登るウェイン、ドン・ニクスの宗教結社でも重要な役割を担い?、ストーンズからウェイラーズ盤にも参加した。そうか、今にして思えばウェイラーズのイギリスデビューで一役買ったのもたびたび問題にしているマッスル=アイランド共闘関係にありだったわけだな。マッスルギタリストであったウェインの英国仕事とはまずアイランドのボス、クリス・ブラックウェルの手配だろう。クリスが最も力を入れたのがボブ・マーリー(ウェイラーズ)の世界制覇なのだから。
 でこの盤はと言えば、ウェインがアラバマでもロンドンでもなくロスで立ち上げたバンドのデビュー盤。ピートに次いで贔屓のギタリストゆえさぞや好盤かと思ったらば“どヒャ〜”っとのけぞりのカス盤! ほぼ TOTO の三番煎じぐらいです、これ。ボストンでもジャーニーでもいいかな、とにかくギターがハードに迫りながらメロ重視、80年代前後のチャート席巻組にどうにかすり寄らんと惨めな努力をしてしまった情けないお皿ですがな。思い出したのは Boatz(7頁)。ピート然り、時代とは恐ろしいもんだよな、業界での立ち位置が揺らいでしまうと人はなにをするか分からんもんですわ。

 たぶんウェイン先生も今となっては「南部の渋いセッションギタリスト」の名を汚さぬように過去人別帳、バイオからクルムズン・タイドの名は消すぐらいのことはしているだろうなぁという盤、参考までに…。

 

 

 

 

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